
近年、ミニPC の性能向上が著しく、小型ながら高性能なマシンが増えてきました。しかし、ゲーミング用途ではグラフィック性能が課題となりがちです。そこで注目されているのが「Oculink(オキュリンク)」という新しい接続技術です。本記事では、Oculink とは何か、Thunderbolt との違い、そしてミニPCを本格的なゲーミングPC に変貌させる可能性について解説します。
はじめに:ミニPC は本当にゲーミングに使えないの?
これまでの常識では、ミニPC は拡張性が低く、専用のGPU を搭載していないため、高性能なゲームを楽しむには不向きとされていました。しかし、技術の進化と新しい接続規格の登場により、この状況が変わりつつあります。
Oculink とは何か?

Oculink(Optical Copper Link)は、PCI Express(PCIe)信号を外部デバイスと直接接続するためのインターフェース規格です。本来はサーバー向けに開発された技術ですが、近年ではコンシューマ向けデバイスでも採用が進んでいます。Oculink は、PCIe の信号を直接伝送するため、高速かつ低遅延なデータ転送が可能です。
特に、ミニPC においては、Oculink ポートを介して外付けGPU(eGPU)を接続することで、グラフィック性能を大幅に向上させることができます。これにより、コンパクトなミニPC でも高性能なゲームを快適にプレイすることが可能となります。
Oculink のメリット・デメリット
メリット
- 高速かつ安定した接続:
- Oculink は PCIe の信号を直接伝送するため、高速で安定したデータ転送が可能です。
- 低レイテンシ:
- 直接接続により、遅延が最小限に抑えられ、リアルタイム性が求められるゲームでも快適にプレイできます。
- コストパフォーマンス:
- Oculink 対応の eGPUドックは、Thunderbolt 対応製品と比べて比較的安価で入手可能です。
デメリット
- 対応デバイスの少なさ:
- Oculink ポートを標準搭載しているミニPC やマザーボードはまだ限られており、選択肢が少ないのが現状です。
- ホットスワップ非対応:
- Oculink はプラグアンドプレイに対応しておらず、デバイスの接続・取り外しの際には PC の電源をオフにする必要があります。
- ケーブルの取り扱い:
- Oculink ケーブルは比較的デリケートで、取り扱いに注意が必要です。
Oculink でミニPC はどれだけ変わるのか?
Oculink を活用することで、ミニPC の可能性は大きく広がります。例えば、10万円以下のミニPC でも、Oculink 対応の eGPU ドックと高性能な外付けGPU を組み合わせることで、最新のゲームを高画質で快適にプレイすることが可能となります。
実際のベンチマークでは、Oculink 接続の eGPU は Thunderbolt 接続に比べて約10%高いパフォーマンスを示す結果*1が出ています。
例えば、以下のようなOculink対応のミニPCがあります👇
- GMKtec NucBox M7:Ryzen 7 PRO 6850H 搭載。Oculink ポートを標準装備し、省スペースながら eGPU 接続でハイパフォーマンスを発揮。
- AOOSTAR GEM10:Ryzen 7 7735H 搭載。M.2 SSDスロット3基に加え、Oculink で拡張性も◎。
- MINISFORUM UM880 Plus:最新 Ryzen 7 8845HS を搭載し、最大96GBメモリ・4TBストレージ対応。eGPU 接続にも対応。
これらのモデルは10万円前後で手に入るものも多く、“省スペース×高性能ゲーミング”という、これまでにない選択肢として注目されています。
GMKtec NucBox K8PLUS – Oculink 対応のハイエンドミニPC

GMKtec NucBox K8 Plusは、最新のRyzen 7 8845HS(8コア16スレッド)を搭載したパワフルなミニPCで、Oculinkポートを備えた数少ないモデルのひとつ。eGPUとの低レイテンシ接続に対応しており、ゲームやAI処理などでデスクトップ並みの拡張性を発揮します。
さらに内蔵GPUはRadeon 780M(RDNA3)で、軽めの3Dゲームや映像処理もスムーズ。
USB4ポートも搭載しており、ストレージやGPUの拡張性も抜群です。
✅ 主な特長
- Ryzen 7 8845HS(AI処理対応NPU内蔵)
- Radeon 780M内蔵GPU搭載
- OculinkポートでeGPU接続に対応
- 32GB DDR5メモリ(最大96GBまで拡張)
- 1TB PCIe 4.0 SSD(デュアルスロットで最大8TB)
- USB4、HDMI、Type-Cなどの映像出力(最大4画面)
- Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.2 / 2.5GbE ×2ポート
- デュアルファン冷却システムで安定動作
🎮 Oculinkで外付けGPUと組み合わせれば、AAAゲームやAIワークロードも快適にこなせる1台。
ミニPCのサイズ感を保ちながら、パフォーマンスにも妥協なしの本格派マシンです。

AOOSTAR GEM10 – 高い拡張性を誇る Oculink 対応のミニPC

AOOSTAR GEM10は、AMD Ryzen 7 7735HSを搭載し、Oculinkポートを標準装備した拡張性の高いミニPC。
PCIe 4.0 x4相当の帯域を持つOculinkにより、外付けGPU(eGPU)の性能を効率よく引き出せる設計となっており、ThunderboltやUSB4と比べても、低レイテンシ・高帯域で安定性に優れている。
加えて、最大3枚のM.2 SSDを搭載できるストレージ構成や、2.5GbE LANポートを2基備えた豊富なI/Oなど、ビジネス用途やクリエイティブ作業にも適した設計となっています。小型ながらも高い処理性能と拡張性を兼ね備えた、実用的なモデルといえる。
✅ 主な特長
- AMD Ryzen 7 7735HS(8コア16スレッド、最大4.8GHz)
- Oculinkポート(PCIe 4.0 x4、外付けGPU接続対応)
- Radeon 680M内蔵グラフィックス(軽量ゲームや動画処理に対応)
- LPDDR5-6400メモリ 16GB(オンボード)+1TB NVMe SSD
- M.2 PCIe 4.0 SSDスロット ×3(最大12TBまで拡張可能)
- USB4、USB3.2、HDMI2.1×2、2.5GbE LAN×2などの豊富なポート構成
- Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.2 対応
- 独自冷却機構「Glacier 2.5」+静音デュアルファン
- アルミ筐体、VESAマウント対応のコンパクト設計(10.7×10.7×6cm)
🎮 本機は、コンパクトなサイズでありながら、OculinkによるGPU性能の拡張が可能な点が大きな特徴です。
省スペース性を維持しつつ、ゲーミングや映像編集、業務用途にも対応できるバランスの取れた構成で、ハイパフォーマンス環境を求めるユーザーにとって、選択肢のひとつとなるモデルです。

MINISFORUM UM880 Plus – 高性能Ryzen搭載の Oculink 対応ミニPC

MINISFORUM UM880 Plus は、最新のRyzen 7 8845HS(8コア16スレッド)を搭載した高性能ミニPC。
Oculinkポートを標準で備えており、PCIe 4.0 x4の高速帯域を活かした外付けGPU(eGPU)接続に対応しており、デスクトップ向けGPUを組み合わせることで、ゲーミングやAI演算などの処理性能を大きく引き上げることが可能です。
そのほかにも、USB4、2.5GbE LAN、Wi-Fi 6Eといった最新インターフェースを幅広くサポート。最大96GB 対応のDDR5メモリや、デュアルM.2スロットによるストレージ拡張性も備え、マルチディスプレイ出力にも対応しています。
クリエイティブ用途や業務用途を視野に入れた設計となっており、幅広いシーンでの活用が期待できます。
✅ 主な特長
- AMD Ryzen 7 8845HS(最大5.1GHz)搭載、AI処理対応のNPUを内蔵
- Oculinkポート(PCIe 4.0 x4)により、外付けGPU接続が可能
- USB4 / HDMI 2.1 / DisplayPort 1.4 による3画面同時出力に対応
- DDR5メモリ 32GB(最大96GB対応)、1TB SSD(最大8TBまで拡張可)
- USB4は最大100WのPD給電にも対応
- Wi-Fi 6E / Bluetooth 5.3 / 2.5GbE LANによる高速通信
- 静音性と冷却性を両立した設計、小型筐体ながら高い拡張性を実現
🎮 高性能なミニPCにeGPUを組み合わせる構成を検討している場合、信頼性の高いMINISFORUM製の本機は有力な選択肢となります。
処理性能、機能性、拡張性のいずれにおいてもバランスの取れたモデルであり、家庭用から業務用まで幅広く対応できる一台です。

OculinkでeGPUを使うために必要なもの【準備ガイド】

Oculink対応ミニPCは、外付けGPU(eGPU)を接続できる新しい選択肢ですが、ケーブル1本で完結するわけではありません。
実際に運用するためには、いくつかの周辺機器や電源構成を準備する必要があります。
このセクションでは、Oculink構成に必要な基本パーツと、GPUごとの推奨電源容量についてわかりやすく解説します。
セットアップに必要な構成例
パーツ | 内容 |
---|---|
ミニPC | Oculinkポート搭載 |
eGPUドック | Oculink→PCIe変換(例:MINISFORUM DEG1) |
GPU(グラボ) | デスクトップ用(例:RTX 3060 〜 4090) |
ATX電源 | GPU用補助電源付き(6ピン / 8ピン / 12VHPWR) |
電源起動ツール | 24ピンジャンパー or 電源スイッチなど |
どれくらいの電源を選べばいい?
電源容量は、使いたいGPUの“消費電力(TGP)”に合わせて選ぶ必要があります。
以下は、よく使われるGPUの目安と、必要な電源容量の一例です。
GPUモデル | 消費電力(目安) | 推奨電源容量(全体) |
---|---|---|
GTX 1660 | 約120W | 350〜400W(ギリギリ) |
RTX 3060 | 約170W | 500W以上 |
RTX 3070 | 約220W | 600W以上 |
RTX 4070 | 約200W | 600〜650W |
RTX 4080 | 約320W | 750〜850W |
RTX 4090 | 最大450W | 850〜1000Wクラス |
💡 一般的には、使用するGPUのTGP+100W〜200Wくらいのマージンを見ておくと安心です。
350W程度の電源では、ローエンドGPUを除き、基本的に容量不足になります。
電源の選び方のポイント
- 補助電源端子の数(6ピン/8ピン)を必ず確認
- 80PLUS認証付きの信頼できるメーカー(Corsair、Seasonic、玄人志向など)
- SFX電源や静音モデルも選択肢に(省スペース志向の場合)

構成により必要なパーツが変わります。
Oculink+eGPUの構成方法には大きく分けて2つあります。
それぞれ、安定性・コスト・準備すべきパーツが異なります。
初心者や安定運用を重視する方には、ドッキングステーション型が特におすすめです。
構成 | 安定性 | コスト | 必要パーツ | 説明 |
---|---|---|---|---|
ドッキングステーション型(例:DEG1) | ◎ | △(やや高) | ほぼGPU+ATX電源のみ | 安心・初心者向け・電源制御込み |
変換基板+ライザーボード型 | △(配線多め) | ◎ | + ジャンパー必須 | 安く済むがややDIY要素強め |
○ドッキングステーション型(おすすめ)
Oculink対応のドックには、
ミニPCの電源ONをトリガーに、ATX電源も連動起動する仕組みが搭載されています。
面倒な電源スイッチやジャンパーが不要になり、配線もシンプルで安定動作が期待できます。


▶電源付きのタイプもあります。

○変換基板+ライザーボード型
ドッキングステーションを使わない場合、接続には以下のような追加パーツが必要になります。
- Oculink → PCIe変換基板
- ATX電源(GPUへの補助電力用)
- 電源スイッチ or ジャンパーケーブル
接続の自由度が高い一方、安定性や見た目の工夫も必要です。

○起動手順(ライザー構成の場合)
- ATX電源をON(スイッチまたはジャンパー)
→ GPU・ライザー基板へ12V電力供給開始
→ ファンが回るが、まだ映像出力はなし - ミニPCの電源をON
→ PCIe信号が流れ、eGPUが認識&起動開始
○設置・安定性についての注意
ライザー構成では、GPUとATX電源を「裸のまま横置き」するケースが多く見られます。
物理的に不安定なため、以下の工夫が推奨されます。
- 長期運用では特に物理サポートの工夫が重要
- GPUの端を発泡材や台座で下から支える

○注意点:補助電源は別途必要です
Oculink → PCIe変換基板は、あくまで信号変換用のパーツです。
GPUの動作には、別途ATX電源からの補助電力(8ピンなど)が必須となります。


まとめ:Oculink を知って、次の選択肢を手に入れよう!

Oculinkで広がる未来
現在、Oculink 対応のミニPC や周辺機器はまだ限られていますが、その高い性能とコストパフォーマンスから、今後の普及が期待されています。特に、ミニPC のコンパクトさと高性能を両立させたいユーザーにとって、Oculink は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
Oculink は、ミニPC の可能性を大きく広げる新しい接続技術です。これまでゲーミング用途に不向きとされていたミニPC でも、Oculink 対応の eGPU を活用することで、高性能なゲーミング環境を実現できます。ミニPC ユーザーの皆さんも、Oculink を活用して新しいゲーミングスタイルを手に入れてみてはいかがでしょうか。
でしょうか。
……とはいえ、「そこまでしてゲームやるなら普通にデスクトップでいいのでは?」という声もあるかもしれません。
でも、Oculink構成には**“好きなパーツで自由に組める”という大人の自由研究感**があるんです。
快適性とロマンのバランス、どこに落ち着くかはあなた次第です。
さらに詳しい情報を知りたい方は、以下の動画も参考になります。
📎 この動画の要点をざっくり知りたい人はこちら👇
Oculink とは?Thunderbolt との違いとメリットを比較
外付けGPU(eGPU)といえば、これまではThunderbolt が主流でしたが、最近注目を集めているのが「Oculink」という接続方式です。本記事では、YouTuberによる詳しい比較動画の内容をもとに、Oculink の特徴やメリット、Thunderbolt との違いについて要点をまとめてご紹介します。
eGPU の主な接続方式は3つ
- Thunderbolt(TB3/TB4)
- 最も一般的で利便性が高い
- ホットスワップ(電源オンのまま抜き差し)に対応
- 周辺機器やUSB接続、充電にも対応
- 最大40Gbpsだが、実効帯域は約23Gbps
- 高価なGPUとの相性はやや悪く、コスパは微妙
- m.2
- 最も安価
- デバイスの分解が必要、Wi-Fiカードを犠牲にすることも
- 帯域は最大PCIe 4.0 x4(条件付き)
- 接続が面倒で、安定性にやや課題あり
- Oculink(注目!)
- PCIe 4.0 x4 による高速・低遅延な接続
- m.2より扱いやすく、Thunderbolt よりも高性能
- ノートPCやハンドヘルドにはまだ標準搭載されていないが、ミニPCでは対応モデルが増加中
- ホットスワップ非対応(接続・切断時には電源OFFが必要)
Oculink のメリット
- 高い帯域幅:PCIe 4.0 x4(理論帯域64Gbps)で、Thunderbolt の約2.5倍の実効性能
- 低レイテンシ:GPUとCPU間のデータ転送がよりダイレクトで高速
- 価格対性能比に優れる:Thunderbolt ほどの多機能性はないが、ゲーミングやGPU計算目的には理想的
- ハイエンドGPUにも対応:RTX 4090でもボトルネックが少ない(ただしGPUもPCIe 4.0対応が必要)
注意点・デメリット
- ホットスワップ不可:接続時は電源を完全に落とす必要あり
- ケーブル長の制限:推奨最大は80cm(1mで動作した例もあり)
- セットアップの手間:Thunderbolt と比べて接続ステップが多い(電源投入順序などに注意)
- 対応機種が限られる:ノートPCではm.2アダプター経由での使用が主流、ケース加工が必要な場合も
実際のベンチマーク結果(要点のみ)
- Oculink は全体的に Thunderbolt を上回る性能を発揮(最大10〜30%程度)
- 高負荷タイトル(Cyberpunk 2077など)では Thunderbolt 環境でクラッシュやパフォーマンス低下が頻発
- RTX ON 時、Oculink は安定して性能を維持しやすい
結論:本気で eGPU を使いたいなら Oculink が最適解
Thunderbolt の利便性は魅力的ですが、純粋にパフォーマンス重視で eGPU を使いたいなら Oculink がベストです。特にミニPCやハンドヘルドで本格的なゲーミングやAI演算を行いたい方には非常に有望な選択肢といえるでしょう。
今後は、Oculink 搭載 PC の増加や、よりコンパクトな Oculink eGPU ドックの登場に期待が集まります。

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